山内 昌之著
新潮社 (2004.11)
\714
評価:☆☆☆
嫉妬というと、なんとなく女性が男性に持つ感情のような気がしてしまうのだが、本書が取り上げているのは男同士の嫉妬。著者がイスラム史と国際関係史の専門家であるゆえ、取り上げている人物の幅広さは括目に値する。
男同士の嫉妬となれば、その対象は才能になる。才能ある人が才能ある人に嫉妬する場合もあれば、才能のない人が才能のある人に嫉妬する場合もある。嫉妬されないのが一番ではあろうが、なかなかそうはいかない。
嫉妬し、された人々として取り上げられているのは森鴎外やロンメル、トハチェフスキー、石原莞爾といった有名人達。彼らの感情が、あるときには国政すら左右し、あるときにはみっともない諍いだけが後世に記憶されるようになった。
個人的に面白かったのは、スターリンが名門貴族の末裔で天才的な軍事戦略家トハチェフスキーに抱いた嫉妬。私も無能な人間の一員として、煌くばかりの才能が身近に居たら冷静で居られるか自信がない。
もちろん、嫉妬はされる側の問題でもある場合が少なくない。尊大すぎて嫌われたカエサルの逸話も興味深かった。嫉妬する側に問題があるのはもちろんだけれども、ただ小人だからと片付けるわけには行かないと実感した。
有名な人物からそうは知られていない人々まで、男達の織り成した歴史の一ページを楽しむにはうってつけだと思う。
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評価:☆☆☆☆
ああ、読むんじゃなかった。なぜかって?出てくるのがどれもこれもおいしそうだから。
やはり食道楽の人が書く食べ物の話には、書物の魅力だけではなくて食べ物の魅力が詰め込まれている。それも、これでもかってくらい。
しかも書いているのがエッセイの名手の米原さんであるからには文章の面白さに加えて知る楽しみまで味わえる。ウォッカを巡るロシアとポーランドの争いやらソ連の大物政治家の政治姿勢と食の好みやらキャビアにまつわる話やら家を建てるイメージを固めに神戸に行って美食ツアーになってしまった話やら、どれもこれも面白い。エッセイ好きなら手に取るべし。
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