柘植 久慶著
PHP研究所 (2005.7)
\580
評価:☆☆
戦争大好き柘植久慶の本。古今東西の戦争についてやたら詳しいのだけれども、その文章力の低さも特筆されて良いかもしれない。
取り上げているのはローマの成立から滅亡に至るまでの数々の戦争である。ローマほどの版図を誇った帝国であるからには南はアフリカ、北はイギリス、そして東は中東と戦いの連続だった。
中国など他の多くの地域とは違い、帝位を継ぐのには血縁ではなく民衆や軍の支持が重要だった。だから歴代の皇帝達は自ら軍の先頭に立って闘ったし、敗北や弱腰はしばしば致命的な結果をもたらした。なにしろ、市民や軍の支持を失うことは暗殺という結果に直結したのだ。その結果、ローマ皇帝の多くは寿命を全うせず、戦場で死ぬか殺害されるかだった。
それでも英雄達が陸続と現れた。その最大の者は間違いなく天才的軍略家であり、政治家であり、どうやら人妻キラーでもあったらしいユリウス・カエサルだろう。そのカエサルのガリア遠征やカルタゴとの血で血を洗う抗争、史上唯一の正しい戦争とも言われるスパルタカスの反乱など、有名な戦いからファンにしか知られていないような戦いに英雄達がどのように挑んだのか、そしてどのように死んでいったかが余さず記されている。ローマの大きな戦争の流れについては網羅されていると言って良いだろう。
ただ、軍事だけで帝国を語るのは無理がある。本書を読んでもローマ帝国の姿は全く分からないし、戦争の背後にあって軍を支えた文化や文明、技術もその姿を垣間見ることができない。数々の戦争のディテールだけを知りたい人には向いているかもしれない。
ポエニ戦争に興味が沸いた私としては会社の昼休みにちまちまと読む分には十分だった。
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