ウェンディー・ノースカット著 / 橋本 恵訳
講談社 (2001.5)
\1,470
評価:☆☆☆
知ってのとおり、世の中には莫迦が溢れている。あなたにも心当たりがあるだろう。莫迦はその奇矯な行動と常識はずれの言動ですぶばれる。たとえば子供の名前を大天使(ガブリエル)などと名づけている既知外もその一例で、その程度の莫迦は(嘆かわしいことに)身辺に溢れかえっているのだけれども、もっと凄い莫迦もいる。
人類はこれほどの文明をを築き上げるところまで進化してきたというのに、なぜこんな人々がいるのだろうか。ひょっとして、進化が足りないのじゃないか。
ではどうすれば人類はさらに進化できるだろうか。それは、莫迦が勝手に死んでくれることだ。いや、死ななくても良い、生殖能力を喪ってさえくれれば……
そんなブラックな立場からシニカルに人の死まで笑い飛ばしてしまおうというのが本書。ダーウィン賞は、もちろんかのチャールズ・ダーウィンにちなんでいるのだが、その精神はダーウィンとかけ離れていて、莫迦な死に方をした人に贈られる賞である。莫迦は嫌いだと公言する私でさえ死人を笑うのにはタブーに近い感覚を覚える。しかし、それでもあまりといえばあまりの死に方を見てしまうと、笑いがこみ上げてきてしまうのも事実である、ということを知った。
たとえば。車の中で恋人と喧嘩になった人物が時速100km以上で走る車から飛び降りてしまったケース。長いゴムを使用したバンジージャンプで地面に激突した若者。地上で最も暑いデスバレーで32kmの道のりをわずか3リットル足らずの水だけを持って踏破しようとした無謀な冒険家。果ては恋人にいいところを見せようとロシアンルーレットを敢行し、見事に当たり(この場合は外れか?)を引き当てて死亡した莫迦。常識を外れた死を遂げた人がこれほどにも多いというのはある意味で驚きである。
取り上げられている話の中にはそれを笑うのは酷ではないかと思われるものもあるが、死人が出たというのを忘れてしまうほど莫迦莫迦しい話もある。莫迦は計り知れないのかも知れない。
読むに耐えない話もある。具体的に言うと、やはり性器を喪うに至ったもの。同じ男性として読んでいるだけでどうにもこうにもむずむずしてしまう。なので、ここだけ流し読み。分かりますよね、この気持ち。
賢明なる読者はもう察しがついたと思うが、本書に登場する圧倒的多数は男である。フェミニストなら激怒すべきことだろう。女も莫迦な死に方をする、と。莫迦のジャンルの一つに過ぎないフェミニストは無視すると、やはり男性ホルモンの力は恐るべきものだ、ということになる。サルも生まれたときにはオスメスほぼ同数なのが、オスがしばしば無謀な行動によって死ぬため大人になるとその比率が大きく偏るという事実からも遺伝子のレベルから、男は莫迦なのだ。哀しい男たちと少数の女性たちの悲しい最後を見て、ブラックな笑いを楽しむのも、たまにはいいかもしれない。ただし、一気に読むのはお勧めしない。理由はお分かりいただけると思う。
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