カレンダー
12 | 2007/01 | 02
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

すかいらいたあ

Author:すかいらいたあ
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。



宣伝目的以外のあらゆるコメント、TBを歓迎します。

↓ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してください。


にほんブログ村 本ブログへ


kids goo弾かれサイトですので閲覧はご注意を。頭が悪いのが伝染する恐れがあります。

FC2カウンター
最近の記事
Tree-Arcive
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
巡回先
私がよく遊びに行くところ。所謂リンク集です。

書評
にほんブログ村 本ブログへ
本を読もう!!VIVA読書!
つれづれっぽく読書雑記
むっちゃ本が好っきやねん!
くろにゃんこの読書日記
本だけ読んで暮らせたら


リアルでもお世話になっている方々
エンジニア流 ダイエット&料理&グルメ 日記


素敵なサイトたち
憂鬱な昨日に猫キック 不安な明日に猫パンチ
Fluffy


本以外のネタはこちら
ひとりごと
掲示板

アクセス解析
にほんブログ村 本ブログへ



うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
あわせて読みたいブログパーツ
ブログ内検索
RSSフィード
Powered By FC2ブログ
250冊目 阿片王

評価:☆☆☆☆☆


 本書のサブタイトルは「満州の夜と霧」。『夜と霧』といえば、V・E・フランクルの名著で一昔前の教養人なら当然読んでいた類の本である。読んでいないが。ナチスによる迫害により死と直面した人間にしか描けない作品として不朽の名声を勝ち得ている。読んでいないが。これを翻訳したことでみすず書房の評価までをも高らしめたとも言う。読んで(以下略)

 従って、”夜と霧”を冠している時点で必然的に二次大戦の暗い側面を感じさせずにはいられない。加えて阿片王という主題。こちらはイギリスの恥、阿片戦争を想起させる。阿片と満州。その結びつきを、本書を読むまで不覚にも全く知らなかった。

 満州事変からして既に阿片マネーが深く絡んでいたこと、熱河作戦などの日本が果てしない消耗戦争にのめりこんでいく背景に阿片の利益が隠れていたこと。そんな暗い闇に覆われた歴史を、裏社会特有の怪しく分析困難な情報から明らかにしようとするのはある意味で暴挙とも言える。それなのに、著者は複雑怪奇な人脈を辿り、魑魅魍魎が跋扈していた闇の世界に一条の光を当てることに成功していると思う。満州経営が、戦後日本の復興のモデルになったという著者の指摘まで飲み込むかどうかは別に、この点だけでも本書はとても面白く高い価値があると思う。

 詳細は本書に譲るが、日本がどれほど阿片を活用していたのかを知れば知るほど、阿片戦争を他国のこととして責めることが難しくなるのを感じざるを得なかった。性的快楽を高めるという阿片の特長は多くの廃人を生み出し、それが中国全体を病ませた。きっかけは確かにイギリスだろう。しかし、だからといってその基盤に乗って更なる破壊をもたらした影響は少ないものではなかったのも間違いないのではなかろうか。軍閥と日本軍の責任は極めて大きいと思う。

 満州のその影を追うために著者が狙いを定めたのは里見甫。新聞記者として戦乱の中国に降り立った男がいかにして阿片流通に深く関わったのかを、ともすれば闇の世界に姿を溶け込ませようとする人々から探り出す。そこから見えてきたのは阿片の流通を一手に握ることで巨額のカネが流れる最中にいながら私服を肥やすことなく、信義を重んじ中国を愛したスケールの大きい男の姿だった。

 確かに、里見のしたことは決して褒められることではない。満鉄にて甘粕(関東大震災時に大杉栄を殺害した元憲兵)らと共に謀略に携わり、阿片を流通させることで多くの人々を阿片中毒の闇に落とした。ただ、阿片に関わりながらも恬淡として懐の深い様は、同様に闇の世界に関わった児玉誉士夫や笹川良一とは明らかに一線を画している。

 本書の魅力を高めているのは、里見が満州成立の謀略にも関わったことからくる登場人物の多彩さにもあるだろう。満州の皇帝となった溥儀や東條、”満州の夜の帝王”甘粕、前述の児玉や笹川、岸信介に国民党を率いた蒋介石といった大物たちが阿片とカネの周辺に姿を見せる。そのカネのほとんどは軍に行ったようで、見境の無い北方での戦線拡大の裏には阿片の存在が大きかったことが示される。そしてその一部は南京攻略後に日本が建てた傀儡国家である汪兆銘政権の維持にも回っていたというのだから驚きだろう。

 歴史の闇に埋もれて当然の、このような人物にここまで肉薄できたのは見事の一言。満州という人造国家を、里見という一人の人物を通して眺めることでその成り立ちや性格が覗くという面白さもあり、里見の謎めいていて不思議な魅力に溢れた人物に引かれてぐいぐいと引き込まれた。満州の実像を、間接的な手法で眺めることができる良書だと思う。


 なお、個人的な話になるが、私は満州が存在しなければ決して存在することのなかった身なので、そういった点からも興味を持って読むことができた。もちろん、こんな大物たちの関与があったわけではないと思うが、それでも歴史と自分が確かにつながっていることを実感する瞬間でもある。
太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2007/01/07(日) 23:26 | Trackback:(0) | Comments:(0)

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ