松井 孝典著
岩波書店 (2003.5)
\777
評価:☆☆☆☆
宇宙人といってもホピだとかバシャールだとかキャトルミューティレーションを行っているだとか人間を攫って脳に怪しいチップを埋め込んでいるとかピラミッドやナスカの地上絵に関与したたとかいう類の与太話とは違う。宇宙まで進出した人間社会を、まさに宇宙的な規模で見直そうという壮大な本である。そのような視点に立って世界を捉えることをアストロバイオロジーと著者は命名している。
本書で語られているのはまず宇宙人としての視点を持つこと。そこからシステムとしての地球、人間圏という考え方、生命の起源、地球外生命体の可能性、歴史や文明のあり方についてとと幅広い話題が展開されている。
宇宙的な規模で見ているので、当然のことながら話は壮大である。たとえば歴史といえば、いいくにつくろう鎌倉幕府、のようなことが想起されるかもしれないが、そんなレベルのことは語られない。数百万年をほんの数ページで述べるというすさまじいスピードである。驚くのは、そのスピードで歴史を振り返ることでどれだけ現在が特異な時代なのかがはっきりすることだろうか。
というのは、移動と資源の消費の速度(、そして量)が近代に入ってから明らかに大きな変動をしているからである。著者の言葉を借りればフロー型からストック型に変わった。つまり、地下資源として蓄えられていたエネルギーを猛烈な勢いで消費することで今が成り立っている。これが特異である、と。
歴史についてもこの調子なので、生命については太陽系内の生物の可能性から、太陽系外の生物に至るまでの話題がある。火星探査が進んでいるので、火星にかつて水があり、それどころか近い過去にも地表に水が流れた証拠があるとの記事がだされたことは記憶に新しい。他にも太陽系には二つ、生命の可能性が指摘されているところがあるが、それがどこかは本書をあたってみて欲しい。
とにかく、地上からの視点、現在を生きているという視点を離れて、あたかも宇宙人のような視点で世界を眺めると、今まで見えなかったことが見えてくることが面白い。宇宙、生命、文明といった、壮大でなかなか身近に感じられないことが一つの流れとして自分の上にも流れているのだと実感できる。そんな新たな地平を見せてくれたことに感謝。
ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)




