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233冊目 NASA宇宙探査の驚異
NASA宇宙探査の驚異

中富 信夫〔著〕

講談社 (2001.6)

\1,260

評価:☆☆☆☆


 過去に人類が行ってきた宇宙開発の歴史をまとめた本。初版が2001年ということもあって情報はやや古いが、執筆時点での広範な話題を集めているので大まかな流れを掴むには丁度良いと思われる。

 人類がその調査の対象としてきたのは最も身近な月をはじめ、太陽と太陽系惑星(本書では冥王星も含めて記載されている)、衛星、小惑星、彗星などの太陽系内にあるほとんどの種類の天体である。その探査計画がどのように進められ、おおまかにどのようなことが分かったのかを一通り知ることができるので、人類の活動領域が思ったより広いと思うようになるのではなかろうか。

 天文に多少の興味がある方ならマリナーだとかガリレオといった探査機を知っているだろうから、成果は面白いのではないだろうか。

 また、宇宙では地球上よりも天体観測に有利という特長がある。というのは、地球上からの観察ではどうしても大気による光の散乱などを考慮しなければならなくなるが、空気のない宇宙からだと高い精度で遠い銀河の観測を行える。パルサーや不思議な形をした銀河など、興味深い話題が沢山ある。

 身近な太陽や月についての情報も触れられているので、地球に多大な影響を与えたこれらの天体がどのような姿をしているかを知ることができる。もちろんこのような惑星ができて我々がこうしていられるのは数学的な確率論で解けることなのだろうけど、それでも奇跡の惑星という言葉が浮かんでくる。

 もう一つの魅力は図版が多いこと。カラー、白黒で実に多くの図版が用いられている。文字を読まなくても十分に楽しめると思う。美しさと不思議さを感じられるだろう。天文学への興味を掻き立てるのは間違いないと思う。

 ただ、この本、はっきり言って英語が読みこなせる人は読む必要ありません。NASA欧州宇宙機関に行った方が良いでしょう。ついでに日本の状況をJAXAで把握しておけばもうほとんど網羅したといっても良い(ソ連とその後のロシアについてはサイトからは分からないけど)。それでも宇宙開発に興味がある方は図版だけでも眺めてみて欲しい。
その他科学 | 2006/12/06(水) 23:27 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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知的怠慢
 懲りもせずに聖書の暗号がどうたらというヒトからTBが寄せられたのでちょっと詳しく。というか、こういうの大好き。大人気ないから。ちなみにTBされているのは聖書の暗号とは【聖書 暗号 2006 the bible code】だが、あくまでも著作権法対策としてリンク先を載せるだけでリンク先の閲覧は推奨しません。下らないし無意味だから。

 TBもとのサイトではこんな大見得がきってある。

(略)聖書の暗号とはいかにもあやしげなものに思えるが、数学、統計学、機械計算を合体した方法で明らかになった証拠が論破されないままなら、その結果を説明する方法は一つしかない。
(略)どの時代のものにも、トーラーを書くことは不可能だということだ。
そして誰であろうとそれを書いた者は、古代ユダヤ人が神がそうしたと主張していたとおり、一文字一文字の正確な順序に、格別の配慮をしていたのだ。
(略)
ハーバード大学数学科教授、ディヴィッド・カザンが1996年に新聞のインタビューで述べているとおり、「その現象は本物だ。そしてその解釈は個人にまかされている」のだ。


 TB元の主張をいくつかのポイントにまとめよう。

(1)数学、統計学、機械計算を合体した方法で明らかになった証拠が論破されていない。したがって聖書の暗号は否定できない

(2)聖書には格別の配慮がなされており、文字の順序に特別な意味がある

(3)これはハーバード大学の数学教授も認めているのだ(愚民ども、反論するなよ)

 というわけで、まずは(1)に対して。

 超常現象の謎解きというサイトは大変参考になるので是非ご覧いただきたいのだが、その中でも聖書の暗号を扱っている。ちょっとでも聖書に暗号があるのかと思ってしまったヒトは必ずや全部読むべし。当該の聖書の暗号より重要な部分を引用する。


最後は、ドロズニンが1997年6月9日に発行された『ニューズウィーク』誌上で、懐疑論者に対して行った挑発について紹介しておきたい。

この誌上でドロズニンは、「私の手法で『白鯨』から国家元首が暗殺されるという予言を発見できたら、彼らの言うことを信じてもいい」と大見得を切った。
この中で言われている『白鯨』とは1851年にハーマン・メルヴィルが発表した小説で、「彼ら」とは、『聖書の暗号』は単なる偶然の産物で、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、べつに聖書でなくても同じような「暗号」はいくらでも見つけられる、と批判した海外の懐疑論者のことを指している。

ドロズニンからすれば「絶対に見つけられるわけがない」と思って大見得を切ったのだろうが、現実にはあっさり返り討ちにあってしまった。

この挑戦を受けて立った海外の懐疑論者たちは、『白鯨』の中から、イスラエルのラビン首相、ジョン・F・ケネディ大統領、アブラハム・リンカーン大統領、レバノンのルネ・モアワド大統領の暗殺の他、インディラ・ガンジー、サーハン・サーハン、レオン・トロツキー、マーチン・ルーサー・キング牧師、エンゲルベルト・ドルフース、などの暗殺も「発見」した。

また暗殺以外にも、ダイアナ元王妃の死や、ドロズニン自身の死の予言まで『白鯨』の中から見つけ出した。
「聖書の暗号」ならぬ、「白鯨の暗号」によれば、ドロズニンはカイロかアテネで心臓に釘を刺されて死ぬそうで、心臓にはかなりの穴が開くらしい。
また死の予言の近くには、嘘つき、偽り、愉快な、などの単語も並んでいた。


 大変残念なことに、聖書の暗号方式では何も証明することはできないのだ。この批判が述べているのは、一定以上の文字数を超えてしまえばそのなかからランダムに文字を選び出すことでいかにも予言っぽいことを導き出せる、ということ。

 つまり、たとえば『スチュワーデス彰子 恥辱のフライト』なんていう仏蘭西書院あたりでありそうな本(そんな本が実在するかどうかは知りません)からでも歴史上重要な暗号を見つけ出すことができるのだ。

 そして聖書の暗号擁護派には極めて残念なことに、一定以上の文章が必ずこのような暗号に見えるようになることは数学的に証明されている。

 次に(2)。これまた残念なことに、聖書を書いた人間は一人ではない。聖書学という宗教心のない人間には理解に困る領域の学問があって、そこで詳しく研究されているのだが、聖書の編纂には複数の人間が関わっていて、そのために場所によって起こった事件の内容が異なったり重複があったり矛盾があったりすることが広く知られている。いかなる人間にもかけなかった訳はないし、特別な配慮があったとも思えない。

 最後に(3)。そもそも、ハーバード大学の教授という、権威を引っ張り出してきて自説の正しさを裏付けようとする方法は愚劣極まりないことを指摘したい。それでもまあ良い。問題は、”ディヴィッド カザン ハーバード 数学 教授”をキーワードにgoogleで検索した結果を見てみると、そんな教授の存在を示すのはTB元のサイトだけ。そんな教授、実在するの?

 こうやって見てくると、聖書の暗号を主張する人々の知的怠慢さが透けて見える。彼らはさして脳を使わず、こんな文字列がありましたというだけでそれ以上のことはできない。残念なことに、聖書の暗号のみが正しいという主張は定規とコンパスだけで任意の角の三等分ができるという主張と同じですでに数学的に否定されていることを知るべきだ。

 考えてみたら馬鹿馬鹿しいことで、聖書の暗号を主張する人々も、聖書から未来を読み解こうとすると途端に悲惨な失敗に終わり、彼らが自信を持って読み取れるのはすでに起こったことが予言されていた!という愚にもつかないことだけなのだ。ノストラダムスの大予言と一緒で、起こった後でしかその予言を正しく解読できない予言になんらかの意味があるのだろうか。

 それに、そもそもこんなブログに反論すること自体が馬鹿げている。もし本当に聖書にそんな予言が沢山あるなら、今後起こることを100くらい読み取って、公表すれば良い。世界中の人がレフェリーになってくれるし、正しい結果が得られたら(暗号があるという人はそう信じているはずだ)、その信憑性はどんな議論をも打ち負かす力を持つだろう。

 なので提案。聖書の暗号肯定派の人々は、ここ5年以内に起こる大きな事件を沢山書き出してみて欲しい。不祥、このサイトでその予言を載せようではないか。それでみんなで判定してみれば良い。聖書の暗号の正しさが証明されれば私はこのサイト上で聖書の暗号を批判したことを詫び、聖書の暗号否定派に対する批判を行うことにする。場合によってはブログの閉鎖を含む厳しい処置を受け入れる準備もある。

 というわけで、是非挑戦してきて欲しい。しかし、やるからには君たちもそれなりの掛け金を用意してくれたまえ。

 なお、予言として認められないのは以下のとおり。
・必ずや起こること(10年以内にブッシュは退陣するだろうとか、100年以内に小泉前首相は死ぬだろう、といったこと)
・起こる可能性が極めて高いこと(次のアメリカ大統領は民主党から選出されるだろう、どこかで大地震が起こるだろう、といったこと)

 予言には何が起こるか、いつ起こるか、その結果どうなるか、分かる限り詳細に述べること。こちらは大枠があっていれば重箱の隅をつつくようなことはしない。

 私の大予言。
 予言に大失敗した予言肯定派は知的誠実さをかけらも見せず、自説を取り下げずに他所で怪気炎をあげることだろう。(その前に挑戦に乗るだけの度胸がある人などいないかな)
雑記 | 2006/12/06(水) 00:49 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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