菊池 哲郎〔著〕
講談社 (2001.4)
\672
評価:☆
タイトルに反してイギリス礼賛本。イギリスの生活を経済的には他の国の後塵を拝してはいるが精神生活は豊かであるとしている。
たしかに挙げられている例を見るとそう思う点は少なくない。バカンスの楽しみ方や美術、博物品とのふれあいなどはまだまだ学ぶべきものが少なく無いと思う。大英博物館が写真撮り放題で日本の企画展が全くダメという落差を見ても分かると思う。
また、イギリスの押し付け方ではないとされる教育システムは確かに魅力的な面もある。
しかし、そろそろ欧米諸国のことを理想として取り上げるのはやめようよ、と言いたくなるのも事実。それは良い点を認めないというのではなくて、他国の美点は美点として導入しつつ、日本の良い点は保ちましょう、ということだと思う。
たとえば、パブの過ごし方として階級に相応しい場があるのだと指摘しているがそもそもその階級は必要なのか。ロンドンでは言葉の使い方やアクセントからどの通りの生まれかまで分かり、それが生涯付きまとうという。
日露戦争のとき、ロシア兵は日本が士官学校を出ればその出自に関わらず士官、そして将校になれたことに驚愕したという。無理をせず今の階級に留まれという無言の圧力があるのとないのと、どちらが良いのか。
どうも、イギリスの高い立場の人々を見てイギリス全般の善し悪しを語っているように思われてならない。話題は新聞から地下鉄・バスなどの交通事情、そして不味いと世界的に高い評価(?)を受けている食事事情などを取り上げていて話題は尽きないが、どうにも一面的に過ぎる気がしてならない。
羨ましいのは、著者が方々のパブを巡って美味しいビールには巡り会ってきたことであろうか。
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