岡崎 久彦著
産経新聞出版 (2005.7)
\700
評価:☆☆☆
本書が扱っているのは1853年のペリー来航から1952年の日本の再独立まで。幕末から占領終了が100年というと長いようで意外と短い感じがするが、この間には日清、日露戦争、一時大戦、二次大戦と多くの戦乱があった。これは日本だけの話だけではなく、アジアの植民地化が次々に進む中で各国がしのぎを削っていた中に武力衝突も少なからず含まれていたわけである。
日本も下手なやり方をしていれば世界の趨勢に負けて植民地化されていてもおかしくなかったのは間違いの無い事実だろう。ロシアの膨張政策は外洋への自由な航行を補償するためにも太平洋とロシアを遮断するかのごとき日本と敵対したわけで、これは後にソ連が日本の敗北のどさくさにまぎれて北海道まで占領しようとしたことにもつながっていく。
少しでも隙を見せていれば猛禽のような大国によって日本が四分五裂の占領地となっても不思議はなかったのを、巧みな政治及び軍事運用によって免れ得たことは奇蹟といってもよいかもしれない。本書が説き起こしているのはこの辺りからで、読んでいて手に汗を握るようなシーンが多い。
虎口を逃れた日本は自国の利益と安全を保障するため、大陸を舞台に覇権国として振舞っていく。その結末はご存知の通り、泥沼のような対中国戦争と太平洋戦争への邁進によって日本は破滅の道を歩むことになる。
特に日華事変前後からの流れは政府も冷静な姿勢や実力に見合った振る舞いを忘れ、目先の小さな勝利に酔った勢いだけで無謀な道を突き進んでいるわけで憤りを禁じえない。その辺りも著者自身の想いが伝わってくる。
明治維新から敗戦までを実にコンパクトにまとめていると思う。
しかしながら、日本を擁護する姿勢が強すぎるようにも思う。太平洋戦争がアメリカに圧力をかけられた結果として始まったことは私もその通りだと思うが、そのような状況に追い込まれないようにするのが優れた政治家のやらなければならなかったことで、その無策をこそ非難しなければならない。本書でも松岡や近衛に関してはかなり非難されているが、それとは別に太平洋戦争はアメリカの圧力、とするようにしているのはどっちつかずに感じられてならない。
論調としては、保守派ながら不善は不善として認めるというところか。もっとも、この時代はまだあまりに生々しいためにどのように書いても誰かからは文句を言われる難しさが付きまとっているのは事実である。どの本をとってもそういった不満は付きまとうだろう。そういった点を踏まえて読むのが良いのかもしれない。
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