柳田 理科雄著 / 空想科学研究所監修
扶桑社 (2006.8)
\600
評価:☆☆☆☆
馬鹿馬鹿しいことは大真面目にやることで面白くなる。特に、特撮や映画など、そもそも真面目に語られることを想定していなかった場合にはなおさら。そんな見本のような実験は、多分『ウルトラマン研究序説』に遡ることができるだろう。単に馬鹿馬鹿しいことを大げさにして面白くすること自体は古くからの技法で古典的啓蒙思想家ヴォルテールの『カンディード』などもそこに入れられると思う。
『ウルトラマン研究序説』が組織論や法律論を持ち出したのに対し、科学を武器に立ち上がったのが柳田理科雄。その映画版が本書である。って、タイトル見たら分かりますね。
やっていることはシリーズ共通に共通する、映画の中のシーンを取り上げてそこにある科学的検証の当否を論じている。不幸にして取り上げられるのはハリウッドを代表するというよりも、著者の目に止まってしまった作品たち。その数、36。
ゴジラやグレムリン、エイリアンにアルマゲドン、タイタニックにインデペンデンス・デイ、果ては2001年宇宙の旅と著者の暴走は続く。その結果、NASAが科学オンチとしか言いようの無い状態だったり、不可解な生物が跳梁跋扈していたり、思わぬ映画が科学的に正しいことが判明したりと驚きと笑いの連続が読者を待ち受けている。
個人的に、こういった馬鹿馬鹿しさは大好きなのでとても楽しみながら読むことが出来た。ただ、残念なのはそのほとんどの映画を見たことがなかったことで、見た人はもっとずっと楽しめたのではないかと思う。
もっとも、本書にも論理の飛躍が随所に見られることもまた事実で、そのあたりは読者側も突っ込みを入れる心構えを忘れずに楽しみたいところである。
ただ、無茶なことはやりながらも必要とあらば『せん断加工』だとか『解体工法と積算』だとか『超伝導の探求』といった専門書を参考文献に挙げるほど、論理には気を使っているのが面白さの背景にあるのは事実。真面目な文献に当たってもそれを現さない。それがまた面白さを際立たせているのかもしれない。
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