白帝社 (1995.10)
\1,680
評価:☆☆☆
唐は安史の乱で事実上滅亡する。その後、北辺には異民族王朝が乱立し、南方には漢民族の王朝が盛衰を繰り返す乱世が訪れる。五代十国の時代である。この時代を終焉させたのが、宋だった。
本書が取り上げるのは宋の名臣と称えられる范仲淹(はんちゅうえん)。だがしかし、范仲淹が政治の中央で活躍したのはわずかな期間に過ぎず、名臣との世評から想像されるほどの功績は挙げていない。
そんな范仲淹の実像に迫るため宋建国の情勢は勿論、北方異民族の強国・遼との関係まで丁寧に説明されているので、范仲淹が活躍することになる舞台をよく理解できると思う。
貧しく、刻苦勉励して科挙に合格した范仲淹は、民を救い、軍を率い、朝廷では改革を断行する。しかし隠し立てしない発言は政敵をも生み出し、やがては改革は失敗に終わってしまう。
いつの世も既得権益を守ろうとする守旧派はつきもので、改革は困難を極める。范仲淹がどのような改革を目指し、何を成し遂げたのか。改革に付きまとう困難を見るのに良いかもしれない。
私としては范仲淹が常に貧しい民のことを丁寧に保護しようとする姿勢にこそ魅力を感じる。なお、先憂後楽とは彼の言である。
死後、彼の名は高まり続け、宋代一の名臣とまで言われるようになるが、そのような噂に基づくのではなく、冷静に筆を運んでいるのが印象的だった。宋の雰囲気を知るのに適しているだろうと思う。
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