ピーター・ラーソン著 / クリスティン・ドナン著 / 富田 幸光監訳 / 池田 比佐子訳
朝日新聞社 (2005.3)
評価:☆☆☆☆☆
百獣の王、といえば現生生物ではライオンである(実際には最も強く、かつ威厳に満ちて美しいのはトラなのだが)。しかし、絶滅済みの生物も含めるのであれば文句なしにティラノサウルス・レックスこそ、その座に相応しいであろう。
そんなティラノサウルスは意外と思われるかもしれないがあまり研究が進んでいない。その一番の理由は、彼らが強大な捕食者だったことに起因する。いつの世も食べる者よりも食べられる者の方が多い。ライオンよりシマウマのほうが多いのと同じだ。ティラノサウルスは、そもそも少数精鋭だったのだ。そして、動物が化石になるのは非常に珍しい。死体がすぐに土に埋もれなければ、風化作用によって骨はあっというまに失われてしまう。ただでさえ少なかったティラノサウルスが、わずかな可能性で化石になって、それを運良く発見できる可能性ともなると極小であることが分かるだろう。おまけに、幸運にも化石が見つかっても、体の一部だけであることが多い。何らかの理由によって他の部位は失われてしまっているのだ。
だから、どんな化石でも貴重な研究材料である。化石が発見されるたびに彼らの生態について多くの知見が得られのだ。たとえ、それがわずかな断片であったとしても。そんな状況で、ほぼ全身の骨格を保った、最大級のティラノサウルスが発見される。発見者であるアマチュア研究者、スーザン・ヘンドリクソンにちなんでスーと名づけられたティラノサウルスは、研究者の垂涎の的となる。だから、であろうか。スーの発掘は複雑怪奇な裁判闘争へとなだれ込むこととなってしまう。
本書はスー発掘を指揮したピーター・ラーソンとその妻だったクリスティン・ドナンが体験した、スーの発見から彼らが巻き込まれていった裁判の過程と、これまでに明らかになってきた(あるいはそうであると推測される)ティラノサウルスの生態を丁寧に追いかけている。アメリカの裁判制度になじみのない身には驚くような理由でラーソンらは追い詰められていくが、それでも恐竜、わけてもティラノサウルスへの愛情が曇ることはない。圧巻なのは、これらのわずかな骨から実に豊富な情報を読み取り、ティラノサウルスの世界を我々に見せてくれるところである。恐竜を、これまでよりもっと身近で想像しやすくしてくれたことに感謝したい。恐竜好きはぜひ一読を。
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アリサ・クレイグ著 / 森下 弓子訳
東京創元社 (1998.3)
評価:☆☆
嫁さんが風呂に入っている間は私が子供を見張ることにしている。泣いていればあやすわけだが、寝ていたらやることがないので本を読むのは必定であろう。そんなわけで、嫁さんが買ってきた本を眺めたのがこの本。2,3ページ眺めて笑ってしまったのでそのまま読み続けたわけである。
で、さっそく結論から言ってしまうと、面白くない。というか、キャラクターが作りすぎなのが欠点。もっと現実味のありそうな人々だったら面白かったんだろうけど。あと、ジョークが多いのだけどこれまたやりすぎ&日本人の感性にはあっていなさそうなノリなのが困りもの。ちょっとだったら笑っていられるのだけど、延々やられると辟易する。
シャム双生児がでてくるのだけど、そのあたりの薀蓄をさらっとだしているのは面白かった。我ながら見るところがずれている。ただ、ドリトル先生に出てくる双頭の動物については井伏鱒二の名訳であるオシツオサレツを使って欲しかった。
本筋のトリックは納得いくし、ネタになりそうなキャラが多いだけにちょっと残念。最後まで読もうという気にはなるので☆二つ。
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