ジェイムズ・D.ワトソン著 / 大貫 昌子訳
白揚社 (2004.4)
\3,045
評価:☆☆☆☆
タイトルを見た瞬間、これは面白そうだと思って飛びついた。著者は言わずと知れたDNAの二重らせん構造を発見しノーベル賞を受賞したジェイムズ・ワトソン。二重らせん構造の発見までの自伝は『二重らせん』で面白おかしく語られていた。それだけに続きが楽しみなのに加えて、ビッグバン宇宙論の提唱者であるジョージ・ガモフがタイトルにも載っている。さらに遺伝情報、ときたら面白くないわけがない。
読み始めたら、その登場人物の豪華さにくらくらさせられる。本書ではワトソンらが重大な発見を成し遂げた後が書かれているので、一介の若い研究者だった時代とは随分雰囲気が異なっているのだ。
職を得たカルテクで同僚となるのはワトソンと共にノーベル賞を受賞したフランシス・クリックは勿論、彼らとDNAの姿について先着の栄誉を争った前世紀最大の化学者の一人でノーベル化学賞と平和賞を受賞したライナス・ポーリング。天才的なひらめきと非凡な魅力に溢れたノーベル物理学賞受賞者のリチャード・ファインマン。ここに生物学の時代の幕開けを告げたワトソンが加わって、物理化学生物の各分野で多大な貢献をした当代一流の人物が揃う。
そこに加わるのがガモフにクリック、レオ・シラード(ルーズベルトに原爆開発を進言するようアインシュタインを説き伏せ、開発成功後は投下に反対した)やマンハッタン計画で科学者達を率いたオッペンハイマー、と錚々たるメンバー。ちょい役でワインバーグ・サラム理論でノーベル賞を取ったサラムまで出てくる始末。
豪華メンバーに囲まれながら、やはり若い男の心を占めるのは女性。すんなり上手く行かない不器用なところにちょっと親近感を感じたものである。
当然、遊んでいるばかりではない。DNAの2重螺旋構造発見以降、生物学は飛躍的に発展したわけだが、その中心にワトソンはいたのだ。あるときはジョージ・ガモフと、クリックと、ファインマンとRNAやタンパク質合成やタバコモザイクウイルスの仕組みやらといった課題に取り組む。『二重らせん』の時には誰にでも結末が分かっているが、今回はどうなるか。ワトソンから見た生物学激動の時期を魅力的な人々との係わり合いを通じながら追いかけるのは実に面白い。ただ、ワトソンのロマンスに関することもかなり多いので、それを楽しめるか楽しめないかで本書の評価が大きく変わるかもしれない。
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