松浦 晋也著
エクスナレッジ (2005.5)
\1,365
評価:☆☆☆☆
スペースシャトルの就航は1981年。宇宙へのアクセスを容易にする、夢の機体と騒がれたものである。だが、それから25年近くが過ぎたにも関わらず宇宙が近づいたようには感じられない。
それどころか1986年にはチャレンジャーが、2003年にはコロンビアが墜落し、14名の命が失われ、事故のたびに打ち上げが中断されてきた。アメリカの宇宙開発はむしろ後退した、と言っても良いほど低迷しているのが現状である。
なにが今日のこの事態を招いた原因なのだろうか。
その答えとして、著者が導き出したのは「そもそも設計思想が誤っている」ということだ。”夢の機体”とされた機体はなぜ”欠陥品”なのか。本書ではスペースシャトルの構造、性能は勿論、アメリカの政治的、軍事的な思惑にまで立ち入って設計段階での過ちを指摘されている。背景となる理由の一つ一つは大したことがないかもしれない。しかし、結果としてスペースシャトルは多機能のつぎはぎとなってしまい、万能マシンであるがゆえどの機能をとっても専用機に負けることになってしまった、という指摘は重要だろう。
今後の宇宙開発がどうあるべきなのかを考えるには最適と言える。なによりも、まずスペースシャトルに託した夢が潰えたことを認識し、その上で次にどのように進むべきなのか、を示してくれた本書に感謝したい。スペースシャトルでみる夢は潰えたかもしれないが、宇宙への夢はまだまだ続くのだから。
なお、チャレンジャーの事故については事故調査に携わったファインマンさんの困ります、ファインマンさんが面白いのでお勧めである。
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