デイヴィッド・M・ラウプ著 / 渡辺 政隆訳
平河出版社 (1996.4)
\2,520
評価:☆☆☆☆
生物の進化、というとついつい原始的な生物から”高等な”生物に向かって一直線に変化してきたようなイメージをもちがちであるが、そうではない、恐竜が絶滅せずに覇権を握り続けていたら、今の哺乳類は無かったかもしれない。もちろん、恐竜が白亜紀後期に滅びなかったとしても勃興した哺乳類が恐竜を滅ぼしてしまった可能性もあるが、その可能性は低いだろう。進化は決して定められた一本道を、運命に従うかのごとく辿ってきたわけではなく、試行錯誤を繰り返し、時に絶滅し、時に生き延びながらやってきた道なのである。
そうやって考えてみると、絶滅というのも進化に大きな影響を与えていたことが分かろうと言うものである。しかしながら、絶滅の影響について体系的に述べている本にはなかなかお目にかからない。語られるのは個別の絶滅――もちろんその筆頭は恐竜だろう――ばかりのように思う。
そんななかで、この『大絶滅』は、絶滅が生物進化に及ぼした影響をいくつもの実例を元に説いており、進化論に欠かせないはずのひとつの視点を与えてくれる。おまけに、グールドが序文を書いている、というのも彼のファンには魅力である。
さて、ではなぜ生物は絶滅するのであろうか。それが本書のサブタイトルである、”遺伝子が悪いのか、運が悪いのか”につながってくる疑問になる。なにしろ、化石の証拠から過去に存在した生物の99.9%はすでに絶滅していると思われるのだから。遺伝子なのか、運なのか、というのは余りに二者択一に過ぎて必ずしも正しい問いかけではないだろうが、しかし有効な問いかけではある。
絶滅の起こるメカニズム、その影響、そしてその後の生物の発展。その論の全てに賛成はできないが刺激的で興味深い視点があることを教えてくれる本である。進化論や三葉虫、恐竜絶滅の謎に興味がある方は、ぜひどうぞ。
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