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34冊目 壊れた尾翼
壊れた尾翼

加藤 寛一郎〔著〕

講談社 (2004.6)

\980

評価:☆☆☆

 1985年8月12日。その日のことはまだ覚えている。私は、一家で父の実家のある北海道に帰省していた。そこで、日航機の墜落事故のニュースを知った。尾翼が壊れた日航機が御巣鷹山に墜落したこと、生存者がわずか4名だったこと(そして、その全員が女性だったことも)。その数日後、帰省先から戻るために空港に行っても、勿論まだ日航機のニュースが中心だった。空港でそのニュースは、かなり嫌なものだったことも覚えている。

 私よりももっと年配の方は、1971年の事故も覚えておられるかもしれない。雫石上空で自衛隊機と全日空機が接触、全日空機は墜落して乗員・乗客全員が亡くなられ、自衛隊機のパイロットは脱出して無事だった事故である。

 この二つの事故はどのように発生して、その事故の結果、飛行機にはどのような現象が起こって墜落に至ったのかを丁寧に書いているのが本書である。著者の加藤寛一郎さんは航空工学の専門家であり、多くの関係者と遣り取りをされてきた方である。その本が、ありきたりの内容で納まるはずもない。

 興味本位ではなく、知識をひけらかすのでもなく、純粋に何故事故が起こったのか、起こってしまった事故に対して、生存者を増やせる可能性はなかったのか、ということを真摯に問いかけることで、やがて再び起こるであろう事故での犠牲者を減らしたい、という気持ちが強く伝わってくる。

 そもそも、絶対に安全な機械などというものは存在しない。飛行機の安全は、いつまで経っても決して100%にはならない。だから、どこまで100%に近づけられるか、が大事なのだ。更に、その高い安全率から零れ落ちてしまった事故機に対しては、どのようにしたら生存者を増やせるのか、ということを問いかけるのが大事なのだ。そして、それを問いかけるには実際の事故の模様を正確に再現できなければならない。だから、本書にはかなり踏み込んだ記述がある。それに興味がある方は、まず読んでおくことをお勧めする。

 特に、文庫に収められる際に追加されたアメリカのスーシティで尾翼を失い、日航機同様、舵の効かなくなった機体を、着陸させ296名中185名の命を救った事例はとても多くのことを教えてくれると思う。事故調査や航空の安全に興味のある方には特にお勧めである。しかし、一般受けはしないだろう。。。
未分類 | 2005/01/18(火) 12:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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