マット・リドレー著 / 中村 桂子訳 / 斉藤 隆央訳
紀伊国屋書店 (2004.5)
\2,520
評価:☆☆☆☆☆
生まれか環境か、という議論はどんなところにもついて回る。しかし、なかなか定量的な議論にはお目にかかれず、環境論者は生まれの影響を否定するし生まれ論者は環境の影響を否定する。
そんな中にでてきたのが、この『やわらかな遺伝子』である。マット・リドレーは遺伝関係の著書を何冊か書いていて、その分かりやすさと面白さには定評があると言っても良い。そのリドレーが、生まれ-環境論争をどうあしらうか。
その答えは、書いてもネタバラシにはならないで書いてしまうが、単純な遺伝決定論は間違っているし、また同時に単純な育ち決定論もまた間違っている、ということであるようだ。双子の研究などから、実に多くのことが遺伝で方向付けされることが示され、同時に遺伝決定論では説明のつかない差も生じていることがわかる。
語られる分野も非常に広く、同性愛や知能といったそれこそ”ホットな”議論に晒されてきたものから外見のようにほぼ争うことの無いところまで多岐に渡っている。また、それぞれの例が面白くて、大著であるにも関わらず読み始めたらどんどん読んでしまう魅力がある。
遺伝に興味がある人だけではなく、教育論や動物の行動に興味のある方まで、多くの方にお勧めできる本である。遺伝の力を疑い深く思う方も、ぜひどうぞ。事例だけでも面白い本です。
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