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すかいらいたあ

Author:すかいらいたあ
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511冊目 前田建設ファンタジー営業部
前田建設ファンタジー営業部前田建設ファンタジー営業部
(2004/11)
前田建設工業

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評価:☆☆☆☆☆


 マンガやアニメに出てきた、夢の建築物。それを実際に見積もってしまおうという壮挙に挑んだ男達が居た。前田建設の技術者達である。

 ファンタジーの世界の建築物、その第一弾として彼らが取り組むのはマジンガーZの格納庫である。汚水処理プールの底が開いてマジンガーZが出てくる、あのシーンを現代の技術は再現することができるのか。

 こういった企画において、架空のものだからといって創り手がふざけてしまっては面白くない。本書が成功したのは、間違いなく創り手が楽しみながらも徹底したプロ根性を発揮したからではないか。

 どのような工事が必要で、それにはどのような技術が使われるか。また、アニメからどのような動作機構が推測され、それをどう実現するか。土木や機械といった社内は勿論、取引先まで巻き込んだ、壮大な企てが姿を現す。全てを真面目にやっているからこそ、そこはかとないおかしさが漂ってくる。

 短期的に見て、目に見えた利益にならないこんな事業が実際に行われたことは嬉しいことと思う。それは、きっとこういう遊び心が多様な人間を育てていくと思うから。それに、自分達の事業がどのようなものか、一般の人に分かりやすく説明するなんてことはどこもやってこなかった。それを、かつてあこがた設備を現実化するという夢のあるやり方で示しているのだから効果は高いだろう。

 この企画は単発で終わったわけではなく、更なる検討を進めているという。興味が沸いた方は、是非前田建設ファンタジー営業部を尋ねてみて欲しい。
技術 | 2008/05/23(金) 23:21 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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482冊目 ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像
ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像 (ベスト新書)ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像 (ベスト新書)
(2001/06)
五代 富文、中野 不二男 他

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評価:☆☆☆☆


 失敗という言葉が悪い、という話で始まったのに驚いた。実に瑣末なことから説き起こす、と思ったのだ。しかし、読み終わった今では自分の不明を羞じている。失敗という、余りにも広い事象を含む言葉を安易に使うことで、事実が見えなくなっていることに気付かされたためだ。

 例えばポカミス。設計どおりに組まれていれば問題ないはずのものが、単純なミスによって本来の機能が出ないならそれは失敗かもしれない。しかし、開発要素の強い技術によって生み出されたものが、一発で最善を得られなかったとしたらどうだろう。それすら失敗と言うのだろうか。

 本書を読むまで、ロケットエンジンの難しさというものに思いを馳せたことが無かったことにも気付かされた。

 通常のエンジンは、可能な限り軽く作って、いじめ試験を繰り返して弱いところを補強していくという。その結果、弱いところは徹底的に洗い出され、強いものへと変わっていく。使用後のエンジンが容易に手に入るからこそ可能な手段だ。

 ところが、ロケットエンジンではそうは行かない。発射されてしまえば、成功しても失敗しても、使用後のエンジンを確認するのは至難の技。なので、一発で最善を、などとはとてもいえない。しかも、元々がギリギリの強度しか狙えないのだから、失敗率を織り込んで組み立てられるという。

 この辺りのことを、正しく認識している人が居ないのが、日本の宇宙開発における不幸だろう。勿論、当事者は違う。設計に当たり、ロケットを組み立てる人々は分かっている。しかし、政治家も官僚も、そんな開発技術に伴う困難さを全く考慮に入れてこなかった。宇宙開発といった、コストが掛かるがメリットも大きい分野を率いるには実に頼りないと言わざるを得ない。

 世界がその働きの恩恵を受けている気象衛星は、なんと予備機すら用意できなかったという。地方にある、無駄な道路の建設予定をちょっと削ればたちどころに捻出できる費用すら、官僚は削るのに血道を上げた。嘆かわしいとしか言い様が無い。

 また、日本社会が失敗に対して寛容さを欠くことも指摘されている。この点に関しては私も同感。失敗が赦されないから、失敗をしていないことと事実が糊塗される。結局、もたらすのは不幸だけだ。敗走を転進と言い換えた戦時中から、社会はあまり進んでないのかもしれない。不幸な発見。

 暗い話は多いけれども、それでもなんとか宇宙開発を進めてきた技術者達には本当に頭が下がる。彼らをちょっとでも援護できるように、開発背景などについても色々知っておきたいと思うようになった。
技術 | 2008/03/10(月) 23:34 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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426冊目 宇宙開発の50年 スプートニクからはやぶさまで
宇宙開発の50年 スプートニクからはやぶさまで (朝日選書 828) (朝日選書 828)宇宙開発の50年 スプートニクからはやぶさまで (朝日選書 828) (朝日選書 828)
(2007/08/10)
武部 俊一

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 タイトルどおり、スプートニクに始まって現在に至るまでの宇宙開発史を大雑把にまとめている。

 スプートニクという、電波を発信するだけの機器が50年も絶たないうちに急速に進化を遂げて他の惑星、小惑星、衛星、彗星などの探査を成功させるまでになったのは驚くほど。

 その間の主な話題を取り上げているので、宇宙開発の全体像を掴むには良いかもしれないが、いかんせん話題が多すぎて一つ一つのトピックに割かれるスペースが少ないのが残念なところ。

 思い入れのある宇宙探査計画もあっさりと流されてしまうと残念さを禁じえない。

 深さを捨てて広さを採ってしまえば仕方のないことだろう。そういう目で見れば、金星や火星といった隣の惑星への調査、深宇宙で出会う謎、他の惑星の衛星や彗星といった謎に満ちた天体と、探査だけでも話題が豊富だし、印象的な月面着陸へのレースや日本の宇宙開発史も手短にまとめられているのは利点。
技術 | 2007/12/12(水) 23:29 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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319冊目 最後の国産旅客機YS−11の悲劇
最後の国産旅客機YS−11の悲劇

前間 孝則〔著〕

講談社 (2000.5)

\924

評価:☆☆☆


 現在のところ、国産の最後の旅客機はYS-11である。戦闘機については零式艦上戦闘機や紫電改などの様々な名機を生み出してきたことを考えると残念だ。

 戦前・戦中には軍用に作られた航空機は世界でも高い評価を受けていたが、それゆえに敗戦後、占領軍は日本に航空分野の技術開発を行うことを許さなかった。そのため、航空史には無視し得ない空白の期間が存在することになってしまった。状況が一転したのは北がスターリンの承認を得て南へ侵略した朝鮮戦争の勃発から。

 通産省の一課長がぶちあげた国産旅客機製造の目標を達成するため、戦前・戦中と名機を設計してきた人々が集められ、一大プロジェクトが結成された。その成果が、このYS-11に結びついたわけだが、その道のりは平坦には程遠かった。

 そもそも戦闘機と旅客機は全然違う設計を行うべきなのに、旅客機についての技術が無かったことによる右往左往に始まり、ようやく完成した機体は操作性が悪く、トラブルを続発させる。官主導の産業に付き物の金銭的な見積もりの甘さ、サービス体制の欠如など、経営的には失敗と片付けられてしまう萌芽が、プロジェクト設立当初からあった。

 本書は最後の国産旅客機が、開発から初飛行を経て、やがて世界中の空を飛び、高い評価を下されるようになるまでの歴史を簡潔にまとめている。生みの苦しみ、官主導による問題点などをきちんとまとめながら、トラブル続きの問題児と思われたYS-11がやがて高い評価を下されるようになるまでを通して読むと感慨もひとしおである。

 旅客機を自前で作れる国などはほとんど存在しない。今も限られた国が作っている飛行機が全世界に広まっているのが現状。そんな中で、経験の無い人々を集めて資金繰りに苦しみながら良くぞ名機を生み出した、というのが私の感想である。

 ところが、YS-11は開発や販路を開拓する中で多くの赤字を出していった。それが経営的に失敗とされる所以だが、それでも技術を蓄積するための費用としてみれば安くは無かったにしても失敗と断ずるほどのものではなかったとの思いを強くした。

 重要なのは、戦略的な目標を立てて、その目標に対してどのような成果だったから成功だった(あるいは失敗だった)と判断することで、赤字が出た=失敗と短絡的に考えるべきではない。結果論として、YS-11は癖が強くともつい最近まで活躍し、コストパフォーマンスに優れた機体だったのだから、後継が無いのは悔やまれることである。今後の航空戦略を考える上でも、YS-11の辿った道を知ることに価値があるのではなかろうか。
技術 | 2007/05/14(月) 23:59 | Trackback:(1) | Comments:(0)

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313冊目 墜落
墜落

加藤 寛一郎〔著〕

講談社 (1994.8)

\1,050

評価:☆☆☆☆


 本書のサブタイトルは、“ハイテク旅客機がなぜ墜ちるのか”で、これが本書の内容を実に良く表している。

 昨今の飛行機は自動化された機能が非常に多い。それは、人間はミスを犯すものだとの人間工学の立場に立った設計思想を活かしているからだ。ところが、機械に頼ることができるのは、所詮は限られたシーンに過ぎない。安定した状況では設定した航路を辿り、着陸も行うことができるものの、予期せぬ事態が発生したときには人間の方が頼りになるものなのだ。

 ところが、人間工学の立場から機械化を進めた結果として新たなパターンの事故が起こっている。機械は便利な道具ではあるが、それに頼りすぎたら手痛いしっぺ返しを食らうことになるのだ。

 本書では、機械に頼りすぎた結果として起こった事故を多く取り上げている。壊れた計器の数値を疑うことなく機械に頼りすぎてしまったり、機械の設定と矛盾する操作をやってしまったり。ハイテク化した故に起こる事故もあるのだ。

 専門家としての知見を活かして、多くの事故について、原因から事故当時の状況、経過、そして結末までを紹介している。我々素人にはなじみの無いコックピットの中や付帯設備についても懇切丁寧に解説されているので、どの事故では何が原因だったのか、ということが実に良く分かる。

 航空力学についてもざっと触れられているので、どのような設計が行われているのか、どのような原理で飛行機が飛んでいるのかも雰囲気を感じられるので航空ファンにはたまらないのではなかろうか。

 事故の中には奇跡的に全員生還したものもあれば、残念なことに多くの死者を出してしまったものもある。だが、著者らの取り組みが、次の事故を防ぎ、飛行機はより安全になっているのは事実だ。今や、飛行機事故はほとんど起こっていない。事故の記録は、人類が事故から何を学び、どう対応してきたかの歴史でもあるのだ。

 だから、事故と言う嘆かわしいことにだけ目を向けるのではなく、どれほど飛行機が安全になっているのかを知るために読むのに丁度良いと思う。同時に、失敗学という立場からも興味深い点が多々ある。機械化は何も飛行機だけに限った話ではなく、家電に至るまで世の趨勢がそうなっているのだから。機械のない昔を懐かしむのは意味が無い。機械を制御し、使いこなすためにもこのような本からは学ぶところが多いように思う。

 とか言いながら、私自身としては面白いから読んでいるだけなのだけど。
技術 | 2007/05/01(火) 23:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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