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すかいらいたあ

Author:すかいらいたあ
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530冊目 ある日、爆弾がおちてきて
ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)
(2005/10)
古橋 秀之緋賀 ゆかり

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評価:☆☆☆☆


 今日の早川さんにて、富士見さんが仲間を洗脳(?)しようとしてラノベを貸す話で存在を知る。その後でcocoさんの紹介を読み、手に取った次第。

 表題作を始め、7つの短編が収められている。そのいずれもが、超自然的かつ不思議な事件を取り上げながらのボーイ・ミーツ・ガールものとなっている。これらの超常的な出来事はあくまでもボーイがガールにミートするための小道具に過ぎない。だから、ちょっとした異世界における普通の小説となっていて、ライトノベルという括りに留まらないと思う。

 空から降ってきた女の子(自称・最新型爆弾)とデートする表題作よりも、決まった時間だけ窓に映る女の子とメッセージを遣り取りする三時間目のまどかの雰囲気が好き。次は風邪によって一時的に記憶が退行する”阿呆風邪”ことゴードン症候群にかかってしまった同級生の話かな。

 どの話でも登場人物のキャラクターがしっかりと作られている。無茶なキャラクター造形に走らないのが良い。キャラに走ると、結局はキャラに振り回されてしまって話が破綻するし、ストーリーがなくなってしまうので。どれも程よい余韻を残して完結しているので、読了後も満足できる。トップクラスに面白いライトノベルだと思う。

 それにしても、この表題作、空から女の子が〜ってところはラピュタっぽいが、それよりも汗や涙が爆発するという設定はどう見ても星里もちるの初期の傑作、『危険がウォーキング』を髣髴とさせて懐かしさを感じさせる。カンガルーさんは怒っています。がるる〜。(分かりにくいネタですみません)
その他小説 | 2008/07/03(木) 21:20 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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508冊目 & 509冊目 リヴィエラを撃て 上下
リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)
(1997/06)
高村 薫

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リヴィエラを撃て〈下〉  新潮文庫リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫
(1997/06)
高村 薫

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評価:☆☆☆☆☆


 これは面白い。もう、こんな書評なんて読まなくて良いからさっさと読んでください、というくらい。私の中では、文句なしに高村薫の最高傑作。

 1992年、東京。二人の男女の遺体が発見される。なぜ二人は謀殺されなければならなかったのか。その裏には、《リヴィエラ》を巡る謎が隠されていたのだった。リヴィエラとは一体何者なのか。

 大雑把に時系列的な流れを言うのであれば、上巻はジャック・モーガンが死体となって発見されるまでの過去の経緯を明らかにしており、下巻はモーガンの死からリヴィエラの正体が明らかにされるまでを扱っている。

 主役格は二人。上巻の主人公はジャック・モーガンであり、モーガンの死後にリヴィエラを追うのは警視庁外事課の手島修三である。魅力的な登場人物として、世界的に著名な天才ピアニスト、ノーマン・シンクレアやCIAのエージェントの《伝書鳩》、イギリスの諜報機関やら警察やらの人物が絡み、複雑だが魅力的な物語が展開されていく。

 いかにも高村薫らしく、どの登場人物にも深いキャラクター造形がなされていて、生身の息遣いが聞こえてきそうなほどである。ジャック・モーガンと手島修三は、著者の得意とするキャラクターである。前者は心に空洞を抱えて虚無的に生きており、後者はハーフの故か自然体で溶け込める社会をもたない。この二人の探索を彩るキャラクターがまた誰も彼も癖がある。

 また、細部にわたる書き込みは、重苦しい雰囲気を遺憾なく伝えてくる。北アイルランドで、イギリスで、日本で、過酷な謀略戦が続く。IRAとイギリスの武装闘争に、中国との密約などが絡み合い、リヴィエラにまつわる秘密に接近したものには容赦なく諜報機関の手が伸び、多くの死者がでることになっていく。

 リヴィエラとは何者なのか。また、リヴィエラにまつわる秘密とは一体何なのか。読者はそれを追いながら、不条理な世界で男達が生き、そして死んでいく姿を追いかけることになる。圧倒的な筆致で描かれる迫真の小説。読み終わった後もしばし余韻に浸った。いつか再読しよう。再読すれば、きっともっと深くこの小説の世界を楽しめると思う。それだけの深みがある作品。
その他小説 | 2008/05/20(火) 22:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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497&498冊目 神の火 上下
神の火〈上〉 (新潮文庫)神の火〈上〉 (新潮文庫)
(1995/03)
高村 薫

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神の火〈下〉 (新潮文庫)神の火〈下〉 (新潮文庫)
(1995/03)
高村 薫

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評価:☆☆☆☆


 むかーしむかしのことじゃった。あるところに、あめりかというくにと、そびえとというくにが、あったそうじゃ。ふたつのくにはそりゃーなかがわるくて、なにかというとはりあっておった。(声:常田富士男)

 というのが昔話になってしまいそうな時代になった。ソヴィエトは建国当初からレーニンが率先してテクノクラートを虐殺しまくったお陰でジリ貧となり、遂には拡大するばかりの軍事費によって潰れたわけだけれども、それと同時にスパイ小説は設定に難しさを抱えるようになってしまった。

 古き時代を前提にしての話なので、現在から見るとどうにも現実感が無いのではあるが、高村薫による毎度ながらの硬質な文章、緻密な構成、大胆な行動によって面白さが色褪せていない。

 本書の主人公は、元原子力技術者の島田浩二。東側に最先端の原発の技術を流し続けてきた、スパイである。二年前にその世界からは足を洗ったはずだったのだが、父の葬儀で自分をスパイの道に引き入れた江口と幼馴染の日野にであったときから否応無くかつて袂を分かった世界に巻き込まれていくことになる。

 核技術を手に入れようとする北朝鮮、核拡散をなんとしても防ぎたいアメリカ、それにソヴィエトと日本の公安。四カ国の思惑が交差する中で島田は徐々に追い詰められ、遂には日野と原子炉侵入を企てる。二人は神の火を解き放つことができるのか。

 相手が原子炉という技術の粋を集めたところであっても著者は怯まない。細かい技術を丁寧に描き出し(当方に内容の正否を判断する能力は無いが)、分秒刻みの行動を丁寧に描ききる。危機小説として大変に面白い。まさに重厚長大。小説好きなら読むべし。

 惜しむらくは、どうにも感情移入のできない主人公と、原発への侵入を決めるあたりの機微が納得できないことか。
その他小説 | 2008/04/28(月) 23:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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485冊目 ホワイトアウト
ホワイトアウト (新潮文庫)ホワイトアウト (新潮文庫)
(1998/08)
真保 裕一

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評価:☆☆☆☆☆



 厳冬の最中、日本最大量の貯水量を誇るダムがテロリストに占拠された。人質はダムの職員に加え、下流域の住人二十万人。また、人質にはダムで不慮の死を遂た吉岡の婚約者、平川千晶が訪れていた。テロリストの要求は、現金50億円。

 ダムへ通じる唯一の道路は、テロリストがトンネルを破壊したため使えない。また、天候が悪いために空からの接近も不可能である。絶対の危機に、警察はただ手を拱いているしかなかった。

 そんな中、偶然から人質となることを免れた富樫は、親友であった吉岡の婚約者を救い出すためテロリストと対決する道を選ぶ。富樫には、吉岡の死に負い目があったのである。カラシニコフAK47を携えたテロリストに徒手空拳の富樫は対抗できるのか。

 大胆不敵なテロリストの構想、ダムが選ばれた理由、そしてダムという特殊な場所故の闘い方など、全ての面で緻密な組み立てがなされており、舞台に引き込まれる。また、主人公は不屈の闘志を持つ超人などではなく、弱さや臆病さを併せ持つ普通の人間であるのが自然で良い。

 第17回吉川英治文学新人賞を受賞すると共に、このミステリーがすごい!における国内部門1位との高い評価も頷ける。ページを繰るのももどかしいほど一気に読みきってしまった。
その他小説 | 2008/03/15(土) 22:39 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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479冊目 テロリストのパラソル
テロリストのパラソル (角川文庫 ふ 20-1)テロリストのパラソル (角川文庫 ふ 20-1)
(2007/05)
藤原 伊織

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評価:☆☆☆☆


 なんと、史上初の直木賞と乱歩賞をダブル受賞した作品。

 10月の土曜日、新宿中央公園で爆弾テロが発生する。現場にたまたま居合わせた、中年のアル中バーテンダー。彼は事件の報道で、爆弾テロの犠牲者の中に海外に渡って以後音沙汰の無かった親友の名を見出すことになる。東大で、全共闘として共に権力と闘った仲の。(正直、私としてはこの権力との戦いというのが理解できないのだが^^;)

 白昼の公園での惨劇に加え、犠牲者に公安の課長が居ることから警察は素早い動きを見せる。ために、彼は困った立場に追いやられることになる。隠してきた過去、爆死した親友との過去が甦る。

 また、過去は思わぬところからも姿を現す。昔の恋人の娘が、唐突に彼を訪ねてきたのだ。爆弾テロで母が死んだ、と。親友と、元恋人。所在すら知らなかった二人が爆弾テロで同時に殺されたのは偶然か、はたまた必然か。主人公は密かに事件の謎を追うことを決意する。

 ヤクザからの接触、警察の目から逃れるためのホームレス暮らし。その果てに、主人公は何を見出すのか、という手に汗握る冒険譚。

 ただ、設定に偶然の要素が多すぎるような気がしてならない。ストーリーを盛り上げるためなら一つ二つの偶然があっても別に構わないのだけど、多いと白ける。また、情報が小出しにされていて、展開が唐突に思われる点もマイナス要因。あと、文章がやや単調か。いくら日本語の語尾は限られるからと言って、”た”、”だった”ばかりで構成されると読んでいて疲れるのは否めない。更に、印象的なタイトルだけど、それが効果的に使われているわけではない。

 総合的に見れば、面白くはあるけれども、乱歩賞の受賞時に全選考委員の絶賛を浴びたというのは納得がいかない。私もそんなに小説を読むわけではないので、他と比較ができないのだが、どうなんでしょ?

 と、酷評しているようだが、確かに面白い点も多々ある。その最たるものは、人物造形の深さだろう。キャラクターを作るといえば突飛な設定をくっつけてしまう(例えばヅラを飛ばして悪人をやっつけるとか)ような安易な方法もありうる。しかし、それでは人間を書いたことにはならない。この作品では、どのキャラクターにも人生の長さに応じた過去があり、特長がある。だから、実際にある世界のことのようにして読むことができる。それは大きな魅力だ。
その他小説 | 2008/03/03(月) 22:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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