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Skywriter

Author:Skywriter
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1825冊目 酔っぱらいが変えた世界史 アレクサンドロス大王からエリツィンまで


ブノワ・フランクバルム/原書房
評価:☆☆☆☆

酔っぱらいと歴史と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは殷の紂王である。彼は池に酒を満たして木々に肉を掛けた間を裸の男女に駆け回らせるという、謎の祭儀を行ったことで知られている。史記より更に古い記録が利用できるようになったことで、殷の紂王は信仰に篤い人物だったことが知られており、この宴も個人的な快楽(もあるだろうが、それだけ)ではなく、神に捧げる儀式だった。もちろんこれが酒池肉林の語源であり、肉を肉欲の肉と考えるべきではない。

仮に祭祀だとしても、信仰に熱心になりすぎるのは君主としては困ったものなので、悪君とされるのは仕方がないかもしれない。

あるいは、三国志の孫権。彼は酒癖が非常に悪かったことで知られる。酒宴で酔いつぶれるまで飲むことを嫌った虞翻が孫権の前で酔い潰れたふりをしたのを見ると、激怒して虞翻を斬れと命じ、他の部下の取りなしで処刑は止めたものの、酔いが冷めて青ざめる。そして、自分が3杯以上飲んでから出した命令は無効であると公式に命令を出したものだ。

アジア人が全般的に酒に弱いからこのような問題を起こした訳では無い。欧米でも酒に起因する失敗は枚挙に暇がないほどである。本書は主に、欧米での酒の失敗を取り上げたものだ。

まず取り上げられるのは、ルーシー。そう。318万年前ほど前、木から落ちて致命傷を負ったアウストラロピテクスの女性である。特に根拠があるようには思えないが、著者はルーシーが酔っ払って木から落ちた可能性を示唆する。少なくとも、アルコール分解酵素を生む遺伝子変異は1000万年ほど前に起こったようなので、ルーシーもまた蜂蜜酒か果物酒を飲んでいた可能性はゼロではないだろう。

人類文明はメソポタミアで生まれたわけだが、そこでの小麦栽培は、酒を得るためだったという説もある。仮に酒の原料栽培説が正しいとしても、麦芽にして発酵させるのではなく、小麦を茹でたものを発酵させていたのではないだろうか。少なくとも、冷やす技術がないので冷えてないし、ホップを入れるのはのちのケルト人だし、炭酸はあったとしても発酵で生じる微量なものだったことを考えると、今のビールとはかけ離れた飲み物だったことは間違いない。

ビールとパンはエジプトでも活用され、ピラミッド建設にあたった人々にパンとビールが支払われたことは有名な話だ。当時は貨幣がないので食料で払われるのは当たり前のことで、同じようなことは漢代に匈奴と向かい合った兵士たちにも米で現物支給が行われていたことを考えれば、パンに加えてビールがあったエジプトのほうが良いと言えないこともない。

こうした酒が生まれるまでの歴史を振り返ると、あとはいよいよ酒で失敗した人物や、飲酒に酔って引き起こされた歴史的な出来事の出番である。酔っ払って部下を殺したアレクサンドロス、酩酊した船長が引き起こしたイングランド王位継承戦争、100年戦争に大きな転機をもたらした酒を用いた策略など、悲惨な失敗が続く。

歴史を変えたという点では、ボストン茶会事件を引き起こした人々は、本来なら茶葉を海に放り込む予定ではなかったが、ラム酒でしこたま酔っぱらい、気が大きくなった彼らは計画を変えてしまった。

リンカーンが暗殺されたまさにその時にボディーガードは酒場で飲んだくれており、JFKが暗殺された時にはシークレットサービスが前夜に飲みすぎて寝不足とアルコールのせいでまともに働けなかった。核の危機の際、リチャード・ニクソンは前後不覚に酔っ払っていてまともに判断できなかったから側近たちがソ連への対処を決めている。

アメリカだけではない。日露戦役において、旅順に立て籠もり首を長くして補給を待ちわびたロシア軍のもとに届いたウォッカ1万ケースはステッセルの士気を挫き、スターリンは部下全員をしこたま飲ませる一方で自分だけはノンアルコール飲料を飲んで部下の振る舞いをすべて記憶していた。

マルクス主義は10日に渡る酒宴の中で生まれ、ビスマルクはコニャックで酔っ払ってフランスからの撤退を承諾した(が、フランス側の、部下のやることにケチをつけるのが仕事と勘違いしている上司のお陰で占領地の返還は第二次大戦を待つことになる)。

フランス革命にも酒は深く関わっていたようだ。本書は革命前のパリの酒について、「自分たちの村落(略)から、大型の壺や樽でワインを運びこみ、しかも一銭も関税を支払わない。彼らは棍棒、剣、ピストル、小銃で武装した100人以上の男を護衛につけていて、役人を関税の建物に閉じこめ、監視員たちを打擲して息もきれぎれにし、任務の遂行を妨げている」と記す。

市外だと、ワインの価格が1/4とあるから、日本の酒税が裸足で逃げ出すレベル。そりゃあ、100人の護衛をつけてもなお、関税を払わないことを選ぶわけだ。そりゃあ革命を起こしたくもなるかもしれない。

我々化学の徒にとっては、フランス革命はラヴォアジエの首を落とした野蛮で偏狭な恐怖政治の始まりでしかないのだが(極論)。

なんだかんだで革命後も酒税は復活、最終的にパリ市にかかる酒税の廃止が決定されたのはナチス占領下のヴィシー政権で発効は戦後の1948年とのことだから驚きだ。

本書にはこうしたエピソードが幾つも紹介されており、なかなか楽しい読み物に仕上がっている。

飲兵衛も歴史好きも楽しめるだろう。私のように飲兵衛かつ歴史好きなら、より一層楽しめる本。ワインでも片手に手にとって見ては如何?
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その他歴史 | 2022/08/13(土) 22:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1824冊目 謎のカラスを追う 頭骨とDNAが語るカラス10万年史

中村純夫/築地書館
評価:☆☆☆☆

日本でよく目にするカラスは、主にハシブトガラスとハシボソガラスである(北海道の北部だとこれに加えて一時期ワタリガラスが見られる)。名前の通り、クチバシが太いのがハシブトガラスで郊外に住み、クチバシの細いハシボソガラスは都市部で我が物顔をしている。

このハシボソガラスには幾つかの亜種があることが知られている、そのうち、アジア東部にはマンジュリカスとジャポネンシスがいる。日本と樺太にはジャポネンシス、樺太から大陸側はマンジュリカスが住み、樺太北部には両者の交雑帯があるとされていた。

仮説が正しいのであれば、樺太北部には両者の進化を探る鍵がある、ということだ。

著者は静岡大学理学部物理学科を卒業後、オリンパスにて工学系のデザインで3年間を過ごし、大阪の府立高校の教員へ転職したという、異色の経歴を持つ人物。この高校教員時代に生物学、とりわけカラスに興味を持つようになる。

趣味が高じ、カラスの研究で論文を書くようになった著者は、樺太北部に本当に交雑帯があるかどうかを調べるべく、定年退職の1年前に職を辞してロシアでの実地検証を計画する。

本書は、著者のロシアへの遠征の模様と、そこで明らかになった事実をまとめたもの。

ロシアには日本とはかなり異なる苦労があることが様々なところから感じられる。とくにロシアの辺境は、誰もが何でもできてないと生きていけない。家を建て、車を直し、銃の手入れをする。

著者はカラスの頭蓋骨の形態の差から進化の道筋を明らかにしようとしているので、生きたカラスを捕らえ、頭部から皮や肉を外して頭蓋骨を手に入れなければならない。それも、1羽や2羽ではデータが少ないのでダメだ。

そんなわけで、本書で少なからぬ文字数を費やされて記されるのが、カラスの捕獲とその後の処理である。著者は心に痛みを感じながらも研究に邁進する。

一度の研究で知りたいことが明らかになるはずもなく、遠征だけではなく、国内でのデータ追加や論文調査も進める。形態学だけではなく、DNA解析も進めていくと、両者では矛盾した結果が得られてしまう。

こうした苦しみも経ながら、著者はハシボソガラス10万年の進化の筋道を説明する仮説に到達する。それが本当に正しいのかどうか判断する術を私は持たないが、十分納得できるものなのは間違いない。

組織に属さぬ個人が自分の力だけを頼りに何を成し遂げられるのかも考えさせられる。何かを始めるのに、遅すぎることはないのだ。そう思わせてくれたこともまた嬉しい一冊。
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生物・遺伝・病原体 | 2022/08/12(金) 23:15 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1823冊目 腸と脳 体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか


エムラン・メイヤー/紀伊國屋書店
評価:☆☆☆☆

人体 神秘の巨大ネットワーク 臓器たちは語り合う』(丸山優二、NHKスペシャル「人体」取材班/NHK出版新書)のレビューを挙げた際に頂いたコメントから知った本。タイトルからして面白そうで、飛びついたもの。

腸と脳の関連については、本書に限らず他の場でも触れられるようになってきた。その関係の深さは驚くことばかりで、それは本書にもたくさんでてくる。脳腸相関で最も驚かされるのは、微生物が我々の精神まで左右している、というものではないだろうか。

行動を左右する感染症は、動物の世界ではいろいろ知られている。例えばハリガネムシに感染したカマキリなどは、体内で寄生虫が育ち切ると水辺へ移動していく。そして、水のすぐ近くまで至ったら、腹部から成長したハリガネムシが飛び出し、水に入る、というわけだ。同じように、メジナ虫という人の寄生虫は、人の足をヘビが噛むとそこへ移動、足に水疱を作り、それが破れると痒く火照るので、少しでも楽になろうと冷たい水に足を漬けると、メジナ虫は水中で子宮を破裂させ、50万にも及ぶ幼虫を生む。幼虫はケンミジンコに食べられるとそのまま感染し、人がメジナ虫に感染したケンミジンコを飲み込むことで感染のサイクルが完成するのだ。

あるいは、ネコを終宿主とするトキソプラズマは人の性格を大胆に変える(その結果、事故死の可能性が高くなる)し、狂犬病は哺乳類の攻撃性を向上させ、他の動物を噛ませることで感染を広げている。

こうした事例を前提に、腸には100兆を超える微生物が生息していることを考えれば、むしろ腸からのメッセージが人に大きな影響を与えないと考えるほうが無茶な話なのかもしれない。人体には腸内の微生物を育てるための機構も備わっている。その1つは、人が吸収することのできないオリゴ糖が母乳に含まれることだ。オリゴ糖は腸内細菌の食事となっているのだ。

この細菌群が適切に働くことで、我々はより多くのエネルギーを得、胃腸の調子が整い、精神が安定し、パーキンソン病を含む病気から身を守ることができる。一方、現代の食生活は細菌叢のバランスを失わせる方向に働いており、それにともなって多くの問題が生じてきている、という。

本書には脳腸相関がもたらす様々な現象を解説しているもので、大きく分けて1.脳と腸内微生物が精緻な情報のやり取りをしていること、2.脳が腸に与える影響、3.腸から脳への影響、の3つとなっている。特に、幼少期における健全な脳腸相関を築けるかどうかは大きな影響を与えるようだ。

それは細菌叢形成に関すること(例えば経膣分娩や母乳育児、醗酵食品の利用)だったり、妊娠期を含めてストレスの少ない環境だったり、適した食生活だったりする。

マイクロバイオームの改善は大人になってからでも悪影響はないので、動物性脂肪を控える、醗酵食品は積極的に摂取する、食べすぎない、ストレス解消に甘いものを食べ過ぎるのはやめる、食事は皆で楽しく、といったライフスタイルに関する提言には耳を傾ける価値があるように思う。

脳腸相関がどのように人の性格や健康に影響を与えるか、興味を持った方はぜひ読んでみて欲しい。きっと、役立つ知識に巡り合うことができると思う。



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医学・脳・精神・心理 | 2022/08/11(木) 23:28 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1822冊目 ケーキの切れない非行少年たち

宮口幸治/新潮新書

本書に関してはいろいろなところで目にしていたため、いつか読もうと思っていた。

タイトルとなっている、「ケーキの切れない非行少年」とはどのような少年なのか。彼らにホールケーキを示す円を書いた紙を渡し、3等分するように指示を出す。すると、多くの少年がケーキをまず2等分し、そこで行き詰まるのだという。

どう見ても、「普通」ではない。1つには、多くの場合に彼らの家庭環境が恵まれたものではなく、ホールケーキを切り分けて食べる経験が少ないことがあるかもしれない。しかし、5等分するように言われた際に、幅が5等分になるよう、縦に5つに切り分けるとなると、そこに大きな断絶を感じる。

実際、多くの子は、知的な問題を抱えているようだ。

一般に、IQ70または75未満を知的障害としている。しかし、かつてはIQ85未満が知的障害とされてきた。もともと85未満の人の知的発達が遅れていることは明らかだったからこそ、85未満という閾値が用いられてきたわけだが、それを70に変えたら、70~85の人はどうなるのか。

しかも、現代は、より機械化され、人と接する必要のあるサービス業に従事する人口が増えた。このような社会では、IQ100でも生きづらさを抱えることになる。橘玲の『もっと言ってはいけない』では、日本においても3分の1は日本語が読めず、手元の本のリストから図書館にアクセスして著者名を答えさせることは4分の1が対応できず、100字程度の概要と本を一致させることができないとなると4分の3が該当する、という事実が紹介されている。

IQ85未満、人口の16%に当たる人々がどれほど生きづらさを抱えるか、想像すら難しいほどだ。実際、彼は小学2年生ほどでもう勉強につまづいている。

彼らは複雑なものを書き写すこともうまくできない。となると、黒板を正しくノートに写すことも不可能だ。小学2年生で躓いてしまった子でも、IQが70以上だと知的障害とは見なされず、通常授業を受けるしか無い。キャッチアップ体制は整えられておらず、彼らを適切に訓練する時間もない。

著者は医療少年院に務める中で、不良少年と言われて想像していた姿と実際の少年たちの落差に驚き、また、彼らが適切な環境さえ与えられれば勉強を望むことも理解し、独自のトレーニング方法も考案したようだ。少年たちが自ら望んで学ぼうとする姿勢を見せるあたり、効果はありそうに思う。その効果はさすがに本書で追いかけるのは不適切だろうから、できれば別の検証を見てみたい。

最も教育効果が高いのは、実力よりもほんの少しレベルの高いトレーニングを与えることと言われる。それを考えると、1つの教室に子供を詰め込んで、画一的な内容を教えることにはいろいろと無理があるのだろう。

息子が高校受験する際、一緒に模試の過去問をやってみた。数学は満点を取ると85くらいになるテストで、私は毎回偏差値70~75くらいだった(現役の時から全く成長していなくて笑った)。だが、難問はえげつないほどの難しさで、いくら自分が必死に取り組んでも解けないと思えるようなものだった。偏差値が10違うというのはそういうことなのである。同じ授業を受けるのは無理がある。もっと、個性に応じた教育を提供できるようになれば、あるいは学校からドロップ・アウトし、犯罪に巻き込まれていく(あるいは引き起こしていく)少年も減らせるかもしれない。

本書がありがたいのは、そのために1日5分のトレーニングをする、というような提言があるところだろう。

知能の分布はベルカーブを描く以上、今もこうした苦しみを持ち続ける子が大勢いるのだから、個々の能力にもっと目を向けた教育が行われるようになっていって欲しいと思った次第である。

他でも探せばいくらでも指摘はあるだろうが、山本譲二の『累犯障害者』と対をなすような内容で、少年犯罪への見方を変える必要を強く感じさせる本。少年犯罪、犯罪心理学等に興味がある方のみならず、教育に感心がある方にも是非読んで欲しい。



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ノンフィクション | 2022/08/07(日) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1821冊目 がん消滅の罠 完全寛解の謎

岩木一麻/宝島社
評価:☆☆☆☆


第15回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。「このミス」はミステリを探す時の良い指標になっている。合う合わないはあるだろうが、品質は保証されている。本作も期待通り、面白い。

世情には疎いので全く知らなかったが、売上は40万部を突破し、ドラマ化もされたとのことなので、私などの駄文を読まずともご存じの方は多いだろう。

さて、本作の謎は、まさにタイトルに凝縮されている。

末期がんを患う患者の体内から、がんが消える。極めて稀にであれば、そのようなことが起こるかもしれない。しかし、その稀な現象が時期を置かず複数回報告されるとなると、話は別だ。

呼吸器内科医の夏目は、この奇妙な現象に気がついた生命保険会社勤めの友人から情報を寄せられる。リビングニーズ特約で保険金を支払った患者からがんが消えたという。それも、4件も。中には夏目自身が余命宣告をした患者も含まれていたため、不正がなかったかの確認があったのだ。

調べる過程で、がんはクロスチェックされており、双子の入れ替わりトリックが演じられたわけでもなく、がんは確かに存在したこと、それが現在では全く見られなくなっていることが再確認される。

奇妙さを説明するため、がんが発生する機序についてもおおまかな原理を示してくれているところも良い。

調査を進めていくと、どうやらこの怪現象は特定の病院からの患者にのみ起こっているようだ、ということが判明する。そこでは何が行われているのか。また、もし画期的な治療法があるのだとしたら、なぜそのようなデータが出てこないのか。

がんが致死的かつ、徐々に進行する病気だからこそ成り立つプロット。がん消滅の裏にある狙いの謎。読んでいて実に面白かった。医療ミステリが好きな方は間違いなく楽しめるだろう。

それにしても、ミステリをネタバレなしでレビューするのは本当に難しい。

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推理小説 | 2022/08/06(土) 23:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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